成功事例

中小企業の海外進出事例の中でも、製造業にフォーカスして進出したエリア別に調査。その一部の概要を紹介します。
アジア・南米に進出した
製造業の事例
ホテル向けのレバーハンドル
製造・販売に注力
一般建物家具や浴室などのアクセサリーを開発から販売まで、自社で完結可能な体制を持つものづくり企業、久力製作所の海外進出事例を紹介します。
ベースにあったのは国内マーケットの縮小傾向。加えて、コストダウンのメリットを見越して中国に進出したのが2003年。2013年には、グローバル規模のホテル市場に参入しようと、シンガポールで開催された国際建材展示会に出展をしたこともあります。
以降、シンガポール、ベトナム、タイなど東南アジアからメキシコやUAEまで、各現地のニーズに合わせたレバーハンドルの製造・販売に注力しています。
株式会社 久力製作所の進出情報
- 展開国/地域:中国、シンガポール、ベトナム、タイ、フィリピン、インドネシア、メキシコ、UAE
- 従業員数:68名
- 設立:1970年11月
- 事業内容:レバーハンドル、ドア金物、引き戸金物、収納金物、浴室・洗面トイレ用アクセサリーの設計開発・製造および販売
※参照元:JETRO公式HP [PDF](https://www.jetro.go.jp/ext_images/_News/releases/2019/48c3ea6f0bbe6a95/fulltextrev.pdf)
西欧に進出した製造・販売業の事例
600年の歴史を持つ
手ぬぐいメーカーがEU進出
600年もの歴史を持つ大阪の手ぬぐいメーカー神野織物は、日本の伝統工芸品を後世に残すため、縮小する国内市場から海外進出を決意、越境ECにも取り組んでいます。
海外でのニーズを知るきっかけとなったのは、地元吹田市で実施した海外留学生へのアンケート。剣道の経験者で、手ぬぐいを使っていることを知り、フランス剣道同盟にコンタクトをとって人脈を拡げていきました。
EU全体の剣道人口は約1万人とニッチ市場ながら、日本の商品単価の倍以上でも売れることを、身をもって体験しています。海外出張して現地で見聞を拡げる姿勢も結果につながっているようです。
神野織物 株式会社の進出情報
- 展開国/地域:フランス
- 従業員数:9名
- 設立:1958年9月
- 事業内容:手ぬぐい、タオルの企画、制作、デザイン、印刷、プリントなどの2次加工、製造卸、販売
※参照元:JETRO公式HP [PDF](https://www.jetro.go.jp/ext_images/_News/releases/2019/48c3ea6f0bbe6a95/fulltextrev.pdf)
アフリカ・アジアなどに
進出したIT企業の事例
システムのダウンロード販売で
海外を販路に
長年にわたり医療用画像管理システムを開発してきたジウンは、日本国内で薬事法が改正されたため、リリース直前で4年間は販売できない事態に陥りました。そこで、販路として海外進出に着手。オンラインでのダウンロード販売にすることで、海外に出向くことなく、200に及ぶ国や地域を対象として60万以上のダウンロードユーザーを獲得することができました。
もともと社内には英語が得意なスタッフはおらず、カスタマーサポートでは翻訳スタッフをアサインしました。比較的小規模に海外進出のスタートに成功した事例。2017年からはマルチ言語対応にも着手、11ヶ国語で販売しています。
株式会社 ジウンの進出情報
- 展開国/地域:イタリア、ナイジェリア、香港、インドネシア、米国、韓国、ブラジルなど
- 従業員数:7名
- 設立:2000年7月
- 事業内容:医療用画像管理システムPACSの開発・販売・クラウドサービスの提供
※参照元:JETRO公式HP [PDF](https://www.jetro.go.jp/ext_images/_News/releases/2019/48c3ea6f0bbe6a95/fulltextrev.pdf)
中国に進出した製造業の事例
海外生産拠点を撤退後、
自社製品の輸出で成功
アンデス電気は、1990年代にはPCやデジタルカメラの基盤の製造拠点をフィリピンに設立、2003年には中国にも進出を果たしたモノづくり企業でした。それが年月とともに現地の人件費が上がり、納入先メーカーはより安い仕入先に流れたことから、一旦は海外拠点を撤収しています。
その後、2014年から取り組んでいるのが、自社で開発・製造を手掛ける空気清浄機の輸出。特許取得した光触媒技術に特徴があり、業務用途で中国の学校や病院をターゲットとした事業です。現地のルールや販路などを詳しく調査して、輸出販売事業を軌道に乗せています。
アンデス電気 株式会社
の進出情報
- 展開国/地域:中国
- 従業員数:313名
- 設立:1971年6月
- 事業内容:特許取得光触媒を用いた空気清浄機の開発、販売
※参照元:JETRO公式HP [PDF](https://www.jetro.go.jp/ext_images/_News/releases/2019/48c3ea6f0bbe6a95/fulltextrev.pdf)
アメリカに進出した製造業の事例
独自開発のレール式自動ネジ
供給機で北米進出
もともとは大手電動工具メーカーのOEMを手掛けていた大武・ルート工業は、需要減もあって自社製品の開発に着手。それがトレッドミルでした。しかし、これも1980年代後半にはアジア製の低価格品に押され気味となり、医療用やリハビリ用に特化することで差別化を図ってきた歴史があります。
そんな中、フォーク式ネジ供給機の精度が低いという課題を持つ企業がいることを知り、レール式自動ネジ供給機を独自開発。北米での販売を目的として、2019年には米国ニュージャージー州で法人を立ち上げ、マーケット拡大に邁進しています。
株式会社 大武・ルート工業
の進出情報
- 展開国/地域:米国
- 従業員数:49名
- 設立:1968年10月
- 事業内容:医療用機器の製造、スポーツ機器の製造販売、小型産業機器などの製造販売
※参照元:JETRO公式HP [PDF](https://www.jetro.go.jp/ext_images/_News/releases/2019/48c3ea6f0bbe6a95/fulltextrev.pdf)
進出先の現地事情に
アジャストできるかが重要
海外進出で成功した中小企業の事例を見てみると、国内マーケットでの問題に直面した結果、試行錯誤する中で自社の課題解決にマッチしたのが海外進出という戦略だったようだね。もちろん、簡単に成功したわけでもなく、ノウハウやネットワークがない中で、進出先のローカルルールや現地事情にどれだけアジャストできるかが重要。
ビジネスは、結果的に成功すれば正解。初めての海外進出なら試行錯誤は当たり前。最終的に失敗で終わらないためには、問題になりそうな点も含めて目指すべき状況を具体化することが大切なんだ。そのために、ぬかりない事前準備とエリアごとの特徴を吟味しよう。
当サイトでは、世界の統計データを基に、 今が狙い目の穴場な進出国をピックアップ。世界を俯瞰的に見ることで、自社が本当に勝てる市場を見つける手助けになれば幸いだ。各国の情報や海外進出支援コンサル会社についても紹介しているので、あわせてチェックしよう。
